吹田・江坂の消費税10%対策相談所「脇大輝税理士事務所」ブログです。
消費税は預り金ではない その①では、消費税の「ほんとう」を考えました。
では、中小規模事業者が考慮すべき2点についてみてみましょう。
① なぜ、「消費税は預り金である」という誤った認識が宣伝されているのか?
これは、行政機関(税務署)とメディアが「消費税は預り金」と宣伝したいからです。
この問題は、裁判にまでなって、結局「消費税は預り金ではない」という決着になったのですが、
それでも役所は納得がいかなくて、次のような対応をしました。
「消費税は預り金的な性格を有する税」
…がんばりますね。
というのも、滞納国税のうち消費税の占める割合は約3分の1(平成26年度租税滞納状況について)。
納付状況の改善は至上命題なわけです。
「預り金的な性格である消費税は、他の支払いに優先して払いなさい!」
「消費税の滞納は、他とワケがちがうんですよ!」
的な指導は現場で実際に行われています。
一方、メディアでも同じ論調の記事を見かけることがあります。
「消費者から預かっているだけの消費税を滞納するのはケシカラン」
「簡易課税による益税もケシカラン」
「免税事業者もケシカラン」
「ついでに、クロヨンもケシカラン」
という、不公平感に訴える記事は読者ウケがいいのでしょう。
しかし、「不公平」と「不公平感」は全くちがいます。
テレビ、新聞、インターネットなどの媒体はともかく、そこに書いてある記事が
常に正しいなんて、幻想だと思いますが…。
② 今後、消費税率10%の時期到来に備えて、事業者は何をしなければならないのか?
とはいっても、滞納という状況が好ましいものではないことは明らかです。
「預る」云々にかかわらず、納付しなければならないのであれば、もう備えるしかないですね。
端的にいえば、利益率(利益金額)の向上と資金管理。
この2点に尽きます。
結局、消費税は計上できた利益の中から支払うほかありません。
そこで、売価を上げるのか、売価を変えずにコストを下げるのか、
それで売上が維持できるのか、納税資金が確保できるのか…
経営者としての腕の見せ所であり、資質が問われるところです。
税理士事務所として、ご提案できる事項はいくつかあるのですが、
当事務所では、「わからない恐怖」をまず取り除くことをご提案しています。
簡単にいえば「税率10%を想定したシュミレーション」です。
わからないモノを相手にしても恐怖心は和らぎません。
まずは、いくらの納税額が予想されるのか、現状で対応できるのか、
対応できない(納付できない)とすれば、どんな改善が必要なのか。
自社の「商品」と「売価」を今一度よく考えるいい機会でもあります。
ともに考えともに悩みましょう!