社長は確かに変わったけれど、実は何にも変わっていない

社長は確かに変わったけれど、実は何にも変わっていない

社長は確かに変わったけれど、実は何にも変わっていない

吹田市・江坂の事業承継相談所「脇大輝税理士事務所」Wakiブログです!

「社長が交代しても、実は何も変わっていない」なんてことありませんか?

日経新聞2016年8月22日

「居座る旧トップの存在 統治阻害、活躍は社外で」

「相談役や顧問などの旧トップが何人、会社にいるか。現役役員より良い部屋が与えられているか。上場会社の本当のガバナンス(統治)の姿が透けて見えるポイントだ」。企業統治コンサルティング会社、プロネッド(東京・港)の酒井功社長は明かす。

歴代3人の社長が不適切会計を主導したとされる東芝は2000年代初めに欧米流の委員会等設置会社(現指名委員会等設置会社)に移行。企業統治の優等生と評された。しかし実態は違った。社長経験者が就く相談役が最多時に5人、その他の重役経験者が就く顧問が同27人もいた。

上場会社の相談役や顧問とは何か。社長経験者らが税法・株主対策上、顧問契約を結び就任するが、経営責任はない。報酬は月250万円程度が相場で、一般に専用の個室、秘書、運転手付きの車が与えられ、接待費も自由に使える。非常勤が建前だが、元気な間は毎日出社する例も多い。

ある旧財閥系上場会社の元社長は約5年前の就任時、先輩の旧トップからこう言われたという。「君は(社長に就任したといっても社内の序列は)5番目だからね」。確かに就任1~2年目の社長には経験豊富な先輩の助言が役立つことがあるかもしれない。

ただ酒井氏は「トップは現役時代に全力で経営に取り組むべきだ。責任のない旧トップの存在は企業統治に悪い影響しか与えない」と指摘する。旭硝子副社長を務めた並木忠男氏はさらに手厳しい。「先輩意識で経営や人事に口出しするため規律を乱す。後輩社長は改革や若返りをしづらい。会社に居座り面倒をみてもらおうとする例も多い」

「欧米では最高経営責任者が退任後も会社にいる余地はない」(企業統治に詳しいボードルーム・レビュー・ジャパンの高山与志子代表取締役)。日本で「会社離れの悪い旧トップ」が普通なのは、終身雇用を前提として現役時の報酬を抑える代わりに退任後に補う慣行があるからだろう。

当事者の意識も変わりにくい。先の旧財閥系会社のように「序列」で苦労した社長は、自分も相談役になり余生を過ごしたいと考えるだろう。後輩に苦労をかけたくないから制度を廃止する、とはなりにくい。

企業内に温存されてきた旧トップを投資家サイドが問題視し始めている。東芝の会計不祥事の発覚後、公益社団法人会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ代表理事は「(相談役や顧問という名の)『幽霊役員』を抱えるのは(当時の)東芝に限らない。日本の大企業の8割以上には同様のポストがある」と批判した。

変化の兆しはある。花王では04年ごろを節目として報酬を伴う相談役・顧問を事実上廃止している。日立製作所では今年6月、庄山悦彦氏と川村隆氏が相談役を退任した。東芝も会計不祥事で批判を浴びて6月に相談役制度を廃止。西室泰三氏や岡村正氏ら歴代トップは名誉顧問となり、個室や専用車はないという。

「まだ貢献できる」という矜持(きょうじ)と気力を持つ相談役・顧問も多いだろう。そんな旧トップはぜひ、社外取締役に就任し、知見と良識を存分に発揮していただきたい。

上記は上場企業の話ですが、街の中小企業にもそのまま当てはまりますね。

「名目の経営者は変わった」

「けど、毎日出社してる」

「報酬も(たぶん)ある」

「経営に口も出す」というより、実質の意思決定者

こんな「事業承継」はそこらじゅうに溢れています。

慣れない経営者を、「ひっそりと」サポートするのは、時に必要な場面もあるでしょう。

しかし、中小企業で、事業承継が失敗する最大の要因は、「親の口出し」だと思います。

その「口出し」を排除できるかが、後継者の腕の見せ所でしょう。

『オヤジは引退したんだから、いいかげん黙っててくれ。』

そんなセリフを吐ける経営者を心から応援します。