夏休みの宿題

夏休みの宿題

吹田市・江坂の租税教室相談所「脇大輝税理士事務所」Wakiブログです!

先月、吹田市内の某中学校に租税教室でお邪魔しました、というのは前回の記事

頂いたアンケートが面白かったので、その中のご質問をいつくかご紹介しましょう。

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「もしも、少子高齢化が進んだ場合、今の私達の代が老人の分も負担して税金を払わないといけなくなるのですか?」

「5億円とった時の所得税はいくらですか?」

「一番印税をもらっているアーティストは誰ですか?」

「新しい税金をつくるとすれば、どれがなりやすいですか?」

「国の借金って、どこから借りてる金ですか?」

「ぼくが払った税金を管理しているのですか?」

なかなか鋭い質問もあります・・・

最優秀質問賞はこちらです。

「個人的には税を1つだけにして、所得に応じて税金を決めればいいと思いますが、どうなんでしょうか?」

税制の最大にして、かつ最難関の課題ですね。

税の世界の大原則は、「公平・中立・簡素」ですが、現在の税制はこの真逆をいっています。

で、このご質問に対する回答がこちら。

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税金の世界では「公平・中立・簡素」という3原則があります。この原則からすると、いろんな種類の税金を作らずに、所得に応じた税金というものを1つだけにするという考え方はもっとも合致しています。

しかし、この3原則のなかで、もっとも難しいのが「公平」という概念(考え方)なのです。たとえば、Aさんの収入は5000万円で2000万円の所得税を払っています。一方Bさんは収入がなく、所得税は払っていません。(所得税は、所得の多い人ほど税率が高くなっていきます。このことを「累進税率」といいます。)この状態であっても、選挙権は同じ1票ですし、救急車を呼べばBさんはAさんの1時間後ということもありませんし、あってはならないということが憲法で保障されています。

また、所得税の現在の最高税率は45%ですが、最高税率をもっと上げるべきだ、という議論もあります。なぜなら、5億円の収入がある人は、税率が仮に90%だったとしても、手元には5千万円も残ります。でも90%という税率は、はたして公平なのでしょうか?

一方、消費税は誰に対しても同じ税率が適用されます。とんでもないお金持ちが買う自家用ジェット機も、わたしが食べた唐揚げ弁当にも同じ8%の税率が適用されます。これは公平なのでしょうか?公平と思う人もいれば、そうでないと思う人もいるでしょう。同じ商品を買えば、どんな人でも同じ税率を適用する、という考え方はこれで公平な側面を持っているのかもしれません。

残念ながら、実際の税制は、「公平」でも「中立」でも「簡素」でもなくなっています。法律を作る人たちは、こういった「理想の実現」だけでは生きていけない世界にいるということもまた事実なのです。

ちなみに、税金の「3原則」とか、公平性や税金の仕組みについて研究する学問を「租税法」といいます。

ご質問ありがとうございました。

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はたして、答えになっているのかどうかわかりませんが、租税教室を通じてこんな疑問を

持って頂いたということは、とても嬉しいですね。

これは、わたしにとって「夏休みの宿題」ですね・・・